雨のボラボラ
イア・オラ・ナ(タヒチ語のあいさつ)。ボラボラ(Bora Bora)に着きました。パンフレットは雲ひとつない空とターコイズのラグーンを約束していたのに、水平線が重くなってきています。けれど、慌てることはありません。ポリネシアでは、ウア(雨)もラグーンと同じく風景の一部です。このガイドは「空の機嫌が変わったとき、ボラボラで何をするか」という一点にだけ答えます。この島でまだ引き受けられないことは、約束しません。
1. まず、ボラボラで「雨が降る」とはどういうことか
北ヨーロッパの雨とは別ものです。ポリネシアのにわか雨は15分から40分ほど、まっすぐに落ち、あとには写真家が一年待つ緑の光が残ります。ラグーンは27度、空気は28度のままです。 雨のなかで泳ぐのは、ポリネシアのささやかな贅沢のひとつです 。どうせ濡れていますし、海はあたたかく、雨が止めば向かいのモツ(環礁に浮かぶ小島)がまたくっきり見えます。
ですから、一日を中止するのではなく、 順番を組み替えます 。晴れを待てるものは後ろに送り、屋根の下でこそ良いものを先にやる、ということです。
覚えておきたいこと。 ボラボラでは、午前が雨でも午後のことは何もわかりません。頼りになるのは一日の予報ではなく、15分先の空です。
2. 雨でも変わらず良いこと
- ガイド付きのラグーンツアー — 船の事業者は、雨雲を読むことにかけては専門家です。順番を入れ替えることはあっても(モツでの昼食のあとだったエイとの遊泳を先にする、など)、中止にすることはまれです。船体が風を防ぎ、内海は山かげで穏やかなままです。Fenua’p の体験 には、ラグーン一周、シュノーケリング、エイのいる場所、リーフの水路が並びます。予約するのは利用者、天候を判断するのはガイドです。
- マッサージとスパ — ポリネシアには タウルミという、温めたモノイオイルを使うマッサージがあります。雨音の届く開けた小屋で受けます。外を走り回る用事がなくなったいまこそ、旅のなかで最良の時間になるかもしれません。
- ゆっくりした昼食 — ラグーンに面した席、ポワソン・クリュ(生魚のココナッツミルク和え)、よく冷えたヒナノビール、そして降る雨。次善の策ではなく、絵葉書そのものです。
- 環状道路を車で回る — 島を一周する32キロの道です。港や宿で借りた車があれば、空いた時間がそのまま発見に変わります。フィティイウ岬に残る米軍の砲台跡、風がやんだときのマティラの浜、バイタペ(Vaitape)の村の市場。
3. いまボラボラで Fenua’p が引き受けられること
- 体験を予約する。 ラグーンツアー、4WDでの島一周、体験ダイビング、リラクゼーション。 体験 のタブに、地元の事業者が出しているものが並びます。空き状況はサーバー側で最新に保たれます。枠を選んで確定すれば、集合場所が届きます。
- 車両を借りる。 小型車、バギー、スクーター、電動自転車。ボラボラの事業者が出しているものによります。島を一周してマティラに寄るなら、2時間か半日で借りるのが一般的です。
- 席を予約する。 飲食店には2つの入り口があります。時間を指定して席を頼むか、店が対応していればメニューから注文するか。メニューと登録状況が整っていない店は表示されない仕組みになっているので、見えているものは実際に出せるものです。
いまボラボラの Fenua’p では扱っていないもの。 「10分後にホテルまで迎えに来てもらう」という即時の配車は、この島には接続されていません。移動は、車を借りるか宿の送迎を使うことになります。中途半端なものを見せるより、何もないと言うほうがましだと考えています。押しても何も起きないボタンより、正確な一覧のほうが役に立ちます。
4. 晴れを待ったほうがよいこと
雨が長引くと意味が薄れるものがあります。危ないからではなく、光がないからです。
- ヘリコプターの遊覧 — 上空から見るボラボラの絵葉書には、澄んだ空が要ります。
- 写真の撮影 — 水上バンガローの桟橋で。ターコイズが写真でターコイズになるには、陽が要ります。
- オテマヌ山の山歩き — 道が滑りやすくなり、頂からの眺めも消えます。
どれも戻ってきます。たいていは翌朝に。ポリネシアは待つことを教えてくれます。
5. ハアピティ — 速度を合わせなおす
予定を壊さずにたわめる、この技にはタヒチ(Tahiti)語の言葉があります。 ハアピティ。「行き当たりばったり」ではありません。フェヌア(「この土地」の意)の速度はヨーロッパの手帳の速度ではない、と認めることです。それに合わせられた旅人が、満ち足りて帰ります。ボラボラの雨は調整の合図であって、失敗の合図ではありません。
マウルウル(ありがとう)。空がどうであれ、よい道中を。


